アメリカ皮膚科学会(JAAD)が1月末に発表したもので、非常に権威のあるガイドラインだと思います。
どの成分が効果的か、生活や食事をどのように管理すべきかについて、参考になる情報がたくさん含まれています。
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Toggle【推奨成分】
ガイドラインで強く推奨されている成分は以下の通りです:
レチノイド(ビタミンA)
- レチノイドは、にきび治療において非常に効果的な成分として長年使用されてきました。ビタミンA誘導体の一種で、皮膚のターンオーバー(角質代謝)を促進し、毛穴の詰まりを防ぐ働きがあります。
医学的解釈:レチノイドは、角化異常や皮脂腺の活動を調節し、にきびの主要な原因である毛包の閉塞を防ぎます。特に、コメド(白にきび・黒にきび)の形成を抑制するのに優れた効果を示します。研究によれば、長期使用によって皮膚のテクスチャーが改善され、炎症性のにきびも減少することが報告されています
過酸化ベンゾイル(BPO)
- 過酸化ベンゾイルは、にきび治療において細菌(特にCutibacterium acnes)を抑制する役割を果たします。これは、抗生物質耐性のリスクを低減する優れた成分です。
医学的解釈:BPOは、皮膚の表面および毛穴内に存在するにきびの原因菌を効果的に殺菌します。また、角質の剥離作用があるため、毛穴詰まりを防ぎ、炎症性のにきびを抑える働きもあります。抗菌作用と皮膚の剥離効果により、BPOはにきびの再発防止にも有用です。
レチノイド+過酸化ベンゾイルの併用
- ガイドラインでは、レチノイドとBPOを併用することが推奨されています。併用することで、皮脂抑制と殺菌効果の両方を高め、にきび治療において最も効果的な治療法の一つとされています。
医学的解釈:レチノイドと過酸化ベンゾイルの併用は、複数の研究で有効性が確認されており、特に炎症性および非炎症性にきびに対して高い治療効果を示します。両者を併用することで、それぞれの弱点を補完し、治療効果を最大限に引き出すことが可能です。
【その他推奨成分】
さらに、普通に推奨されている成分としては:
- サリチル酸
- サリチル酸は、角質の剥離作用があり、毛穴を詰まらせないようにします。また、抗炎症作用もあり、にきびの悪化を防ぎます。
医学的解釈:サリチル酸は、脂溶性の成分であり、皮脂腺が活発な肌に浸透しやすいため、毛穴の詰まりを解消し、炎症性にきびにも効果的です。BHA(ベータヒドロキシ酸)の一種として、穏やかな剥離作用があり、他の治療法との併用にも適しています。
- アゼライン酸
- アゼライン酸は、抗菌作用と抗炎症作用を兼ね備えた成分で、皮膚の色素沈着を防ぐ働きもあります。
医学的解釈:アゼライン酸は、皮脂の過剰分泌を抑え、皮膚内の炎症を抑制することで、炎症後の色素沈着や赤みを軽減します。特に、色素沈着を伴う炎症性にきび患者に推奨されることが多いです。
【エビデンスが不十分な成分】
イドラインでは、以下の成分については現時点で十分なエビデンスがないとされています:
- ティーツリーオイル(外用)
- 緑茶エキス(外用)
- ハマメリス(外用)
- 亜鉛(内服または外用)
- ナイアシンアミド(外用)
私の考え:
ナイアシンアミドは、にきびの改善に役立つ成分としてよく知られています。抗炎症作用があり、皮脂分泌を抑制する働きも報告されていますが、ガイドラインにはエビデンスが十分でないため含まれていません。これは、研究の規模や質にばらつきがあるためだと考えられます。
それでも、ナイアシンアミドは敏感肌にも使用できるため、試してみる価値はあるかもしれません。
【食事に関して】
低GI食
ガイドラインでは、低GI(グリセミックインデックス)食がにきびの予防に効果があると示されています。低GI食とは、血糖値の上昇を緩やかにする食品を中心とした食事法です。
医学的解釈:いくつかの研究で、GI値が高い食品(精製糖や白いパンなど)はインスリンの分泌を促進し、皮脂腺を活性化させるため、にきびの発生率が高まることが報告されています。しかし、一部の研究では、低GI食によるにきび改善の効果が顕著でないことも示されています。
低乳製品・低乳清食
ガイドラインによれば、低乳製品食や低乳清食(プロテインの一種)に関しても、にきびへの効果を裏付ける証拠は不足しています。
医学的解釈:乳製品中のホルモンや成分がインスリン様成長因子(IGF-1)に作用し、皮脂腺を刺激する可能性があるため、乳製品の摂取がにきびの悪化につながることが疑われています。ただし、エビデンスはまだ限定的です。